Friday, 28 September 2007

「iPod touch」を試す【後編】-Wi-Fi StoreやYouTubeに対応。日本語入力も秀逸


ipod touch

9月下旬発売

AppleStore価格:36,800円(8GB)
        :48,800円(16GB)


 新UIの採用や無線LAN搭載による機能強化で、年末商戦に向けたポータブルAV機器の目玉商品ともいえる「iPod touch」。28日に、Windows環境における不具合修正ファームウェアと最新iTunesの提供が開始され、あとは本格的な販売開始を待つばかり となった。


 前回は、iPodの主要機能といえる音楽やビデオ再生についてテストしたが、今回は無線LANを生かした、iTunes Wi-Fi Storeやブラウザ、Youtube再生などのiPod touchで追加された新たな機能についてレポートしよう。

 その前に、前回記事のiTunesからの転送について計測結果が非常に遅かったこともあり、改めてテストしてみた。最新バージョンのiTunes 7.4.3に更新し、219曲のMP3/AAC楽曲(1.49GB)と、ビデオ(1.64GB)を転送してみた。結果、音楽については2回の平均で5分 48秒、ビデオについては4分58秒となった。前回の計測結果は、テスト環境に問題があった可能性が高いので、追記しておきたい。


■ ネット機能利用のため、まずは無線LAN設定

メインメニュー

 iPod touchのメインメニューでは、下部にミュージック、ビデオ、写真、iTunesの4つのアイコン。上部に、Safari、YouTube、カレンダー、連絡先、時計、計算機、設定の各アイコンを用意している。

 下部のiTunesのアイコンは無線LANでiTunes Storeに直接アクセス可能な「iTunes Wi-Fi Music Store」(以下Wi-Fi Store)用のものだ。Wi-Fi Storeだけでなく、ブラウザなどの各機能を利用するためもまずは無線LANの設定が必要となる。

 無線LANはIEEE 802.11 b/gに対応。無線LANを利用するアプリケーションを立ち上げると、無線アクセスポイントを探して、リスト表示する。ここで接続したいアクセスポイント を選択して、WEPキーなどアクセスポイント接続用のパスワードを入力すれば、設定完了となる。

 また、メインメニューの[設定]-[Wi-Fi]からもアクセスポイントの設定が可能。複数のアクセスポイントを利用する場合もここで切り替えが可能だ。


ネットワークを検索 WEPキーなどのパスワードを入力 設定画面からも任意のアクセスポイントを設定できる

 なお、アクセスポイントのWEPキーなどを入力する場合、キーボードを日本語キーボードではなく、英語キーボードにしておいたほうがいいようだ。今回の 環境ではバッファロー製のルータを利用したが、日本語キーボードでWEPキーを入力した際はYouTubeに繋がらなくなったり不安定だったが、英語で WEPキーを再設定したところ安定して通信が可能となった。

日本語キーボード。キーの上部に予測候補用の領域を設けている 地球マークをタップすると英語キーボードに切り替わる。WEPキーの入力はこちらを利用したい


■ 直接購入が新鮮なiTunes Wi-Fi Music Store

iTunes Wi-Fi Music Store。おすすめ/ニューリリース画面。下部に[おすすめ]、[トップ10]、[検索]、[ダウンロード]の各項目を用意

 まずは、iTunes Wi-Fi Music Storeを試してみよう。なお、販売楽曲や価格は、通常のPC/Mac向けiTunes Storeと同じで、1曲150円~200円程度。DRMフリーのiTunes Plus楽曲の場合は200円~270円のようだ。なお、ミュージックビデオを含め、ビデオコンテンツについては同ストアにはラインナップしていない。

 メインメニューから[iTunes]アイコンをタップすると、iTunes Wi-Fi Music Storeにアクセス可能。Wi-Fi Storeを表示すると、画面下部に[おすすめ]、[トップ10]、「検索」、[ダウンロード]の各項目が選択可能となり、通常はおすすめの[ニューリ リース]楽曲が表示される。

 [おすすめ]選択時には、上部に[ニューリリース]、[What's Hot]、[ジャンル]の各選択項目を用意。ニューリリースで最新のおすすめ楽曲などがチェックできる。

 [トップ10]では、人気楽曲をリスト表示できる。iTunes Store全体の人気楽曲を示す[iTunes]のほか、[J-POP]、[オルタナティブ]、[ヒップホップ/ラップ]、[ロック]、[R& B/ソウル]などの各ジャンルのトップ10楽曲を検索/表示して、購入できる。

 [検索]は、ソフトキーボードで任意の文字を入力し、マッチする楽曲やアーティスト、アルバムを表示するモードとなっている。

[おすすめ]-[What's Hot] [トップ10]でジャンル検索が可能 [トップ10]の[J-POP] [検索]でソフトキーボードを立ち上げ 検索結果

アルバムアートをクリックして楽曲再生

 表示された楽曲はiPod touch上で約20秒間の視聴が可能。楽曲情報左のアルバムアートをタップすると、Store上の楽曲をストリーム再生する。また、iPod touch上から直接楽曲購入も可能。価格は楽曲の右側に表示され、DRMフリーのiTunes Plus楽曲については、楽曲の価格表示の脇に[+]のアイコンが付与されている。

 アカウント情報はiPod touchで設定するのではなく、iTunesで設定しているアカウントを引き継ぐ。そのため、PCやMacintoshで初期設定を行なわず、iPod touch単体で楽曲を購入することはできない。

 楽曲の青枠内に表示されている価格をタップすると、価格の部分が緑に反転し、[今すぐ購入]という項目が表示される。ここをタップすると、 iTunesアカウントのパスワードを要求され、ソフトウェアキーボードによるパスワード入力画面が現れる。パスワードを入力してOKを押すと、ダウン ロードが開始されるという仕組みだ。

価格のアイコンをタップすると緑色に反転。もう一度タップすると購入画面に iTunesアカウントのパスワードを入力

ダウンロード画面 ダウンロード中に楽曲再生も可能 ダウンロードした楽曲はプレイリストに専用のプレイリストとして登録

 ダウンロード速度はネットワークにも依存するが、ある程度のネットワーク速度があれば、体感上ほとんどパソコンと変わらない。また、一度ダウン ロードを開始すれば、音楽再生をしながらバックグラウンドでダウンロードを実行できるので、じっとダウンロードを待っている必要はない。このあたりの作り 込みは非常に良くできている。

 ダウンロードした楽曲は、iPod touch内のほかの楽曲と同様に検索や再生が可能。また、プレイリスト内の[iPod touch上で購入した楽曲]というリストに追加される。iTunesと同期した際にはiTunes側にも登録され、当然iTunes上でも再生可能だ。

 [検索]については、ソフトキーボードで文字を入力するのは手間で、Storeからのレスポンスにも少々時間がかかるのだが、それでもこのプレー ヤー側の画面だけでここまでできるのは驚きだ。日本語入力の予測変換は非常に良くできている。ただ、慣れるまでtouchのソフトキーボードで隣のキーを 押してしまうことが多く、少々戸惑った。

 Store自体はシンプルなインターフェイスで、非常に使いやすい。扱っている楽曲自体は、iTunes Storeと同じなのだが、限られた画面内で人気の楽曲をおススメするなど、見せ方の工夫がうまい。同じStoreなのだが、かなり購買意欲が違ってくる。

 PCのiTunes Storeの脇に[TOP10]楽曲を並べられても、“単なる情報”として無視してしまうものが、3.5型フルスクリーンで告知されると、“興味深い情 報”に思えてくる。デバイスの特性に合ったストアのデザインがされており、ついついタップしたくなってしまう。


■ ユニークなWebブラウザ。YouTubeも視聴可能

Safariを起動

 Webブラウザの[Safari]は、起動も早く、画面表示もしっかりしており、レイアウトが崩れることもほとんどなかった。複数のブラウザ画面を立ち上げ可能で、下部に表示されるカーソルキーで任意の画面に移行できる。

 Webブラウザ画面の表示もユニークだ。縦位置だけでなく横位置表示も可能で、その表示変更も非常に滑らかだ。画面をつまんで広げる(ピンチアウ ト)と画面が滑らかにズームして広がる。このズーム/縮小動作が非常に気持ちよく、パソコンのWebブラウザやケータイのフルブラウザなどとは全く違う Web体験が味わえる。また、拡大時でもフォントが美しく、文字も視認性は非常に良い。大型液晶と無線LAN/ブラウザを生かすことで、今後さまざまな応 用ができそうな、可能性が感じられる。

 



もちろん、キーボードを備えていないので、URLの入力やYahoo!、Googleなどの検索サイト利用にはソフトウェアキーボードを利用する 必要がある。URLをアドレスバーに直接入力もできるが、[設定]で任意の検索サイト登録できるので、検索サイトを活用したWebブラウズを利用したい。

横位置表示に対応 ピンチインで拡大表示 複数画面の切り替えが可能

キーボードで日本語入力する [大仁田]を入力すると自動的に[厚]が次の用語の候補に

 キーボードはアルファベットと数字入力のみなのだが、英語キーボードだけでなく、日本語キーボードも用意。日本語のローマ字入力にも対応し、予測変換機能も備えている。

 たとえば、[山田]と入力する場合、Y、A、Mまで入力すると、[山田]という予測がキーボード上に表示される。この[山田]をタップすると、検索キーワードとして登録されるといった具合だ。

  さらに次の用語を予測して、変換文字を出してくれることもある。例えば[大仁田]と入力/決定すると、その次にキーを一文字も打っていないのに [厚]という文字が候補として用意されるのだ。どういう風に候補を用意しているのかはわからないが、ユーザーの行動を先取りしたこの日本語入力の賢さは非 常に魅力的だ。


ブックマークを登録

 ブックマーク機能も備えている。サイト上でアドレスバーの左脇の[+]ボタンを押すとブックマーク登録が可能。ブックマークしたサイトは、下部の開いた本のようなアイコンから呼び出し可能となっている。

  また、YouTubeにも直接アクセス可能。Wi-Fi Storeと同様に[オススメ]、[人気]、[ブックマーク]、[検索]の各メニューが下部に表示され、YouTube動画を楽しめる。たいていの YouTube動画が再生できいるようで、さすがに、パソコンほど画面表示は早くないのだが、無線LANの電波状況が良ければ、なんの問題もなく YouTubeの視聴が可能だ。

 YouTubeの再生画面は、[ビデオ]再生とほぼ同じ。縦位置で表示することはできず、ビデオ再生時と同様に横位置で視聴する

 再生中に画面をタップすると、スキップ/バック、停止などが可能な専用メニューが表示される。動画のバッファリンクが済んでいれば、スキップ操作もかなり高速に行なえる。なお、YouTube動画のダウンロードには対応しない。

Youtubeの人気動画をリスト Youtubeの再生画面

 また、カレンダーや連絡先(アドレス帳)も備えている。カレンダーはWindowsの場合OutlookやWindowsアドレスデータ、Yahoo!連絡帳と連携できる。特に連絡先はなかなか見やすく、任意のカテゴリごとの同期も可能なので、重宝しそうだ。

カレンダー機能 連絡先


■ 未来を期待させてくれるポータブルプレーヤー

  前回紹介したiPodとしてのベーシックな機能に加え、無線LANそしてタッチスクリーンUIを融合させたWeb操作系により、さまざまなエン ターテインメントや情報を楽しめる端末に進化したiPod touch。操作感だけでもエンターテインメント性を感じさせてくれる希有な製品だ。

  もはや「iPod = オーディオプレーヤー」という図式は過去のものだろう。また、この操作系は単なるポータブルプレーヤーだけでなく、さまざま機器、用途への広がりも期待で きそうだ。使っているだけで、少し先の未来を感じさせてくれる、そんな体験がiPod touchの最大の魅力といえるかもしれない。


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